ドイツで引っ越すと、そこには真新しい白い部屋が用意されている。法律によって退居者は壁を白く塗らなくてはいけないため、どこの家も、どこの部屋も、大きさこそ違うかもしれないけど、むやみに白い。
その部屋を自分好みにするのは、自分の腕次第。壁を緑や黄色に塗りなおし、アンティークの家具を入れてデカダンを気取るもよし、白い壁にポスターを張り巡らして、レゲエコレクションで飾るもよし、イスラム風絨毯でまったり異国ムードを醸し出すもよし、はたまた、イケアの家具で、すきのない展示場みたいに統一するもよし。
部屋は、自己主張の場だ。招いた客に「あら、素敵。あなたらしい!」って言わせるために、かなり工夫を凝らすのだ。
ちなみに、私が招いた客の感想。
「きれいな部屋だね。でも、もっと日本の絵とか家具があると思ってた」
ご期待にこたえられなくて、すまないねえ。だが、いったいドコのドイツが自分の国の美術品や工芸品、家具を持って留学しますか。そして、せっかくきた異国でまで、自分の部屋の中を自分の国の「装飾」でもって主張すると?
Naja。。。
君、Unsinn!と思うことなかれ。
異国人にとって、日本の伝統的な文化や美はものめずらしく、知ってみたいものなのだ。いくら、現代日本人の多くが、それほど伝統工芸に興味がなくても、逆に西洋の文化や最先端のモードを欲しているとしても、教養として日本美術史が皆無であっても、そんなの関係ないのですよ。彼らがまず求めてくるのは、
実は生活の中で失われてしまったけど、ちょっとは残ってるよ、日本の装飾、
もしくは
大量生産品なのに、質とデザインはいいんでない、いわゆるMUJIみたいな
だったりする。
アア、飾りたくなる気持ち。
これは、人それぞれであるだけでなく、国によってまったく違うし、また時代によっても「うそでしょ」ってくらい違う。このブログでは、そんな様々な飾りたくなる気持ちを、古今東西様々な装飾を通して分析していきます。たまに、ちょいと危うい宗教学と言語学分析をはさむやもしれませんが。
なんでそんなことするかって?そりゃ、私がこよなく「装飾」を好むからかな。今まで出会い、何でこんなものがあるんだ?って思った「おもろい装飾」をこれから紹介していきましょう。